※本記事には広告が含まれます。馬券の購入は20歳以上・自己責任でお願いします。
こんにちは、たれぞうです。「単勝回収率が100%を超えている騎手を買い続ければ、儲かるのでは?」と考えたことはありませんか。
今回は、競馬予想AIのためにJRAの公式サイトなどから集めたデータ(2010年1月〜2026年10月4日、のべ約81万騎乗)を使って、騎手別の回収率ランキングを作り、さらに「その回収率は翌年も続くのか」まで検証しました。
結論
- 直近(2024年〜)で単勝回収率100%を超えた騎手は5人。ただし多くは人気薄で一発大きな当たりがあった騎手で、一番大きな当たり1回を除くと5人中3人は100%を切る
- ルメール騎手や川田騎手は勝率が高い一方、単勝回収率は70%台。人気が集まりやすく、買い続けると負けている
- 一番大事な結果:回収率上位10人の翌年の回収率は平均71.7%。騎手全体の平均(73.8%)と変わらず、15年すべてで翌年は90%未満だった
調べ方
- データ:JRAの公式サイトなどから集めたデータ(2010年1月5日〜2026年10月4日)。出走取消・競走除外の馬は除いています
- 計算:すべての騎乗で、その馬の単勝(または複勝)を100円ずつ買った場合の回収率
- ランキング:直近の実力を見るため、2024年1月〜2026年10月4日に500回以上騎乗した93人が対象
- 騎手名:表はJRAの出馬表と同じ略称で表記しています
なお、同じ期間に全騎乗の単勝を買った場合の回収率は71.8%でした。これが「何も考えずに買ったときの基準」になります。
単勝回収率ランキング(2024年〜2026年10月)
| 順位 | 騎手 | 騎乗数 | 勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 | 平均人気 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 石田 | 967 | 3.2% | 133.4% | 59.2% | 10.4 |
| 2 | 斎藤 | 1,578 | 7.6% | 112.0% | 72.4% | 7.5 |
| 3 | 菊沢 | 1,979 | 4.7% | 103.5% | 75.3% | 8.7 |
| 4 | 岩田望 | 2,067 | 14.5% | 102.0% | 79.1% | 4.7 |
| 5 | 高杉 | 1,723 | 9.2% | 101.0% | 89.6% | 6.9 |
| 6 | 小林美 | 1,063 | 9.0% | 99.7% | 66.6% | 7.3 |
| 7 | 荻野極 | 1,520 | 10.2% | 97.8% | 88.9% | 6.8 |
| 8 | 川端 | 675 | 2.2% | 95.9% | 77.3% | 10.9 |
| 9 | 小林勝 | 509 | 4.9% | 95.3% | 68.2% | 9.0 |
| 10 | 石川 | 1,274 | 6.2% | 94.9% | 77.2% | 7.7 |
| 11 | 岩田康 | 1,327 | 7.7% | 94.5% | 73.7% | 6.9 |
| 12 | 角田和 | 1,122 | 4.4% | 94.4% | 86.3% | 8.9 |
| 13 | 田辺 | 1,124 | 8.9% | 92.1% | 77.9% | 6.2 |
| 14 | 浜中 | 990 | 10.1% | 90.3% | 76.6% | 6.2 |
| 15 | 田山 | 965 | 6.2% | 90.0% | 74.3% | 8.2 |
上位には、勝率が10%に届かず、平均人気が7〜10番人気の騎手が多く並びました。人気薄の馬に多く乗っているため、たまに勝つと配当が大きく、回収率が跳ね上がります。
上位の多くは「一発の大当たり」で決まっている
そこで、各騎手の一番大きかった当たりを1回だけ除いて計算し直してみました。
| 騎手 | 単勝回収率 | 一番大きかった当たり | その1回を除くと |
|---|---|---|---|
| 石田 | 133.4% | 単勝237.9倍 | 108.8% |
| 斎藤 | 112.0% | 単勝170.6倍 | 101.2% |
| 菊沢 | 103.5% | 単勝361.9倍 | 85.2% |
| 岩田望 | 102.0% | 単勝86.5倍 | 97.8% |
| 高杉 | 101.0% | 単勝113.5倍 | 94.4% |
| 川端 | 95.9% | 単勝262.0倍 | 57.1% |
たった1回の大穴で、回収率が最大で40ポイント近く変わります。騎乗数が1,000回程度だと、回収率はそれだけ「運」に左右されるということです。ランキングだけを見て「この騎手は儲かる」と判断するのは危険です。
有名騎手の回収率は?
| 騎手 | 騎乗数 | 勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 | 平均人気 |
|---|---|---|---|---|---|
| C.ルメール | 1,530 | 28.5% | 74.4% | 79.1% | 2.0 |
| 川田将雅 | 1,369 | 23.9% | 72.8% | 78.8% | 2.2 |
| 坂井瑠星 | 1,877 | 16.2% | 66.7% | 73.9% | 3.9 |
| 戸崎圭太 | 2,089 | 15.7% | 63.2% | 76.5% | 3.6 |
| 松山弘平 | 2,303 | 15.2% | 84.6% | 75.0% | 4.3 |
| 岩田望来 | 2,067 | 14.5% | 102.0% | 79.1% | 4.7 |
| 武豊 | 1,544 | 14.1% | 69.3% | 72.9% | 3.8 |
| 横山武史 | 2,130 | 13.9% | 69.8% | 71.6% | 4.0 |
| 西村淳也 | 1,919 | 10.9% | 82.2% | 80.8% | 5.2 |
| 鮫島克駿 | 2,117 | 10.0% | 73.1% | 76.1% | 5.9 |
ルメール騎手は4回に1回以上勝ち、3着以内には約6割(59.6%)入ります。それでも単勝回収率は74.4%です。「よく勝つ騎手」と「買って儲かる騎手」は別だということが、はっきり分かります。
1番人気に乗ったときは?
人気の影響をそろえるため、1番人気の馬に乗ったときだけで比べました。1番人気全体の平均は、勝率33.8%・単勝回収率79.1%です。
| 騎手 | 1番人気での騎乗数 | 勝率 | 単勝回収率 |
|---|---|---|---|
| C.ルメール | 823 | 39.4% | 78.3% |
| 松山弘平 | 369 | 36.6% | 80.1% |
| 坂井瑠星 | 424 | 35.4% | 76.7% |
| 川田将雅 | 624 | 34.3% | 71.4% |
| 横山武史 | 399 | 32.8% | 77.9% |
| 戸崎圭太 | 523 | 32.1% | 72.5% |
| 武豊 | 306 | 30.7% | 70.8% |
| 1番人気全体 | 9,543 | 33.8% | 79.1% |
ルメール騎手の1番人気は勝率39.4%と、平均より5ポイント以上よく勝ちます。それでも回収率は平均並みです。上手い騎手が乗る馬ほどオッズが低くなり、実力の差がちょうど打ち消されているように見えます。
一番大事な検証:その回収率は、翌年も続くのか
「今年の回収率が高い騎手を、来年買い続ける」作戦が通用するかを確かめました。2010〜2024年の各年で、騎乗300回以上の騎手のうち回収率上位10人を選び、その10人の翌年の回収率を調べています。
回収率上位10人の「その年」と「翌年」(2010〜2024年の平均)
結果ははっきりしていました。上位10人の回収率は、翌年には平均71.7%まで下がり、騎手全体の平均(73.8%)とほとんど変わりません。しかも、これは特定の年だけの話ではありません。
| 年 | 上位10人のその年 | 翌年 | 年 | 上位10人のその年 | 翌年 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2010 | 111.8% | 81.1% | 2018 | 114.1% | 76.6% |
| 2011 | 114.4% | 83.3% | 2019 | 112.6% | 79.5% |
| 2012 | 109.3% | 69.5% | 2020 | 122.2% | 70.0% |
| 2013 | 103.3% | 81.8% | 2021 | 103.7% | 67.5% |
| 2014 | 115.0% | 75.3% | 2022 | 121.1% | 62.8% |
| 2015 | 111.7% | 63.3% | 2023 | 112.8% | 59.0% |
| 2016 | 127.4% | 62.2% | 2024 | 107.5% | 69.7% |
| 2017 | 126.2% | 73.4% |
15年すべてで、翌年は90%を下回りました。ほかにも、次のような結果が出ています。
- ある年に単勝回収率100%を超えた騎手(翌年も300回以上騎乗した、のべ120人)のうち、翌年も100%を超えたのは1割だけ
- 騎手の「今年の回収率」と「翌年の回収率」の関係(相関係数)は0.07で、ほぼ関係なし
つまり、ある年の回収率の高さは、翌年にはほとんど引き継がれません。過去の回収率が高い騎手を買い続けても、儲かるとは言えません。
例外かもしれない騎手:岩田望来騎手
その中で気になったのが、岩田望来騎手です。ランキング上位のほかの騎手と違い、勝率14.5%と勝ち星が多いうえで回収率102.0%。一番大きな当たりを除いても97.8%と、一発頼みではありません。年ごとの成績は次のとおりです。
| 年 | 騎乗数 | 勝率 | 単勝回収率 | 平均人気 |
|---|---|---|---|---|
| 2019 | 518 | 6.9% | 77.8% | 7.8 |
| 2020 | 791 | 9.6% | 76.9% | 5.9 |
| 2021 | 889 | 9.9% | 77.9% | 5.7 |
| 2022 | 786 | 13.1% | 82.1% | 5.3 |
| 2023 | 877 | 12.9% | 85.5% | 5.0 |
| 2024 | 778 | 11.4% | 84.6% | 5.1 |
| 2025 | 671 | 14.2% | 102.2% | 5.0 |
| 2026(10月4日まで) | 618 | 18.8% | 123.7% | 4.0 |
ここ数年で勝率が大きく伸びた(2019年6.9%→2026年18.8%)のに、平均人気は5番人気前後のままでした。実力の伸びに、人気(オッズ)が追いついていなかった可能性があります。ただし2026年は平均人気が4.0まで上がってきており、ファンも気づき始めています。上の検証のとおり、この回収率が来年も続くとは限りません。
競馬予想AIとの関係
6番人気の検証と同じく、「騎手」だけで馬券を選んでも、払い戻しの壁(約80%)を超えるのは難しいことが分かりました。オッズには、騎手の実力もすでに織り込まれていると考えられます。
自作の競馬予想AIでも騎手を要素の一つとして使っていますが、それだけで勝てるわけではありません。どの要素が効いて、どれが効かなかったのかは、開発記の2本目にまとめています。
※本記事には広告が含まれます。データで競馬を考える方法や、予想AIで使っている機械学習を自分でも学んでみたい方は、入門書から始めるのがおすすめです。
Amazonで競馬のデータ分析の本を見るAmazonで機械学習(Python)の入門書を見る
まとめ
- 直近の単勝回収率ランキング上位は、人気薄で一発当てた騎手が中心。一番大きな当たりを除くと、100%を超えた5人中3人が100%を切る
- ルメール騎手や川田騎手は勝率が高いが、単勝回収率は70%台
- 回収率上位10人の翌年は平均71.7%。15年すべてで90%を下回り、「回収率の高い騎手を買い続ける」作戦は通用しない
- 岩田望来騎手は、勝率の伸びに人気が追いついていない珍しい例。ただし来年も続くかは分からない
ランキングの数字だけを見るのではなく、「その数字は運なのか、実力なのか」を疑ってみることが大切だと感じました。次回は、競馬場や距離ごとに、1番人気が負けやすい条件を調べる予定です。



コメント